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相続税は0円でも申告は必要か~手続きを省略できるケースとできないケース~

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相続税を計算した結果、納付額が0円になることも珍しくありません。実際のところ相続の件数に対して9割ほどは相続税の負担が発生しておらず、申告義務も生じません。
しかし、[税額が0円=申告が不要]の関係性が常に成り立つわけではありませんので注意が必要です。相続税が0円でも申告が必要となるのはどのようなケースか、確認しておきましょう。

 

 

まずは基礎控除額と遺産総額の関係に着目する

 

相続税の申告をしないといけないのは、基本的に納めるべき相続税があるときです。

これを判断するもっとも簡単な方法が、「基礎控除額と遺産総額の比較」です。

基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で算出され、各種財産の相続税評価額を合計して算出した遺産総額(借金などの負債は控除する)に対して適用します。この適用後に残った価額が課税価格となるため、この時点で0円になったときは相続税額も0円であることがわかるのです。

この計算により0円になったときは申告を行う必要はありません。

 

 

基礎控除以外の適用で0円になったときは要注意

 

基礎控除の適用に申告作業は不要です。

一方、以下の特例や控除制度を適用するときは要件として申告書の提出が求められています。つまり、仮に以下の制度を使って相続税が0円になったとしても、申告の手続きは省略することができないということです。

  • 小規模宅地等の特例を適用する場合
    → 被相続人等の居住用または事業用に使用していた宅地に関して評価額を最大80%減額できる制度。
  • 配偶者の税額軽減(配偶者控除)を利用する場合
    → 配偶者が相続等により取得した財産のうち1億6000万円または法定相続分相当額のいずれか大きい額まで課税を受けない制度。
  • 農地の納税猶予の特例を適用する場合
    → 相続人が被相続人の農地を相続して引き続き農業を営む場合、一定の条件下で納税を猶予してもらえる制度。
  • 特定計画山林の特例を利用する場合
    → 相続人が被相続人の特定森林経営計画対象山林(森林経営計画が定められた特定のエリア内にある立木または土地のこと)を相続するときの評価額を減額できる特例。
  • 相続財産を公益法人等に寄付した場合
    → 相続人が相続財産を国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄付した際、その寄付した財産について非課税にできる制度。

これらの特例や控除を適用するには、相続税の申告書を提出しなければならず、この手続きを怠ると適用を受けられず結果として相続税が発生してしまうため注意してください。

このうち特に重要で、利用機会の多いものとして「小規模宅地等の特例」と「配偶者控除」が挙げられます。税理士に相談し、不備のないよう対処しましょう。