相続税の負担は、ご自身が亡くなった後の配偶者・子どもなどに発生します。この負担は生前の対応によって軽減することができますので、節税対策をご検討の方はここで紹介する「生前贈与」「不動産の活用」「生命保険の活用」について知っていただければと思います。
相続税の負担は遺産の大きさに対応します。そのため遺産とならないよう生前に相続人らへ贈与をしておけば、課税対象が少なくなり、相続税の負担も軽くなります。
ここでポイントとなるのが「贈与税の負担が相続税の負担より小さくなるかどうか」ですので、贈与税における控除や特例について知ってから生前贈与を行う必要があります。
贈与税については年間110万円の基礎控除が常に適用されます。つまり1年間に110万円以下であれば非課税で贈与をすることができるのです。
ただし「生前贈与加算」にご注意ください。
相続が開始される直前にした贈与は、税法上、相続財産を渡したものと扱われて相続税の課税対象になってしまうのです。2024年以降の贈与については「相続前7年以内」、2023年以前の贈与については「相続前3年以内」の期間を対象に生前贈与加算が行われます。
まとまった財産を贈与するには特例の利用が欠かせません。
例えば次の特例を使った贈与です。
いずれも親や祖父母が、子や孫に対してする贈与に適用されます。また、適用を受けるにあたっては手続きも必要ですので贈与前には税理士に相談しておきましょう。
現金や預貯金は額面そのままで評価されますが、その金銭で不動産を購入すれば、相続税評価額を下げることができます。相続開始までに地価が高騰する可能性もゼロではありませんが、1億円で購入した土地や建物は課税価格1億円以下となるのが通常ですので、この評価額の差額分は節税効果が得られるのです。
また、不動産であればさまざまな制度によってさらに評価額を下げられるなど、節税の工夫もしやすいという特徴を持ちます。
生命保険の活用も代表的な相続税対策の手法です。
被相続人が被保険者兼契約者(保険料負担者)となることで、納めた保険料分は遺産を減らすことができ、相続開始後に相続人等へ保険金として財産を渡すことができます。保険金にも課税はありますが、一定額までは非課税ですし、納税資金対策としても有効です。