不動産を相続する際は相続税にご注意ください。
ここで基本的な計算方法、建物や土地の評価方法について説明しますので、どのような仕組みで相続税額が決まるのかを確認しておきましょう。
相続税の大きさを知るためには、まず課税対象となる財産の価値を金額に置き換えないといけません。相続税の計算上、この金額を「相続税評価額」といいます。
そこで、“土地や建物の相続税評価額を調べていくこと”が具体的な納付額を調べるために必要となります。
同時に、不動産以外の財産、他の相続人が取得した財産についても評価が必要です。相続税の計算をするときは、相続人等が取得した課税対象の財産すべての価額をいったん合計しないといけないためです。
土地の相続税評価額は、①路線価方式と②倍率方式のいずれかによって算出します。
原則として①によるものとされていますが、これは「路線価」と呼ばれる土地の単価のような価額が設定されている場合に採用される方式です。
周辺道路の状況や土地の形状なども考慮しますので、計算パターンが複数あり複雑な評価方法ともいえます。
一方で、路線価が設定されていないときは②を採用し、固定資産税評価額を基に計算をします。
路線価方式または倍率方式に従い算出された相続税評価額で税額の算出を進めていくのが基本です。
しかしながら、生活基盤として使う必要がある特定の土地については「小規模宅地等の特例」を適用し、価額を下げられることもあります。
適用できるパターンにもいろいろありますが、例えば亡くなった方と同居しており自宅として使っていた土地を取得したのであれば「特定居住用宅地等」という枠組みに該当し、330㎡までの土地を限度に80%減額することが認められます。
330㎡以下で相続税評価額3,000万円の土地だとすれば、この特例によって600万円まで下げられる計算ですので、とても大きな節税効果が得られます。
建物の相続税評価額は、原則として固定資産税評価額と同額です。
そのため土地の場合に比べると評価も簡単です。
不動産を含む各種財産の相続税評価額の合計が5,000万円だとしてもその全額に課税されるわけではありません。
ここに基礎控除を適用し、その残額を対象に課税されます。相続人が1人と想定すれば基礎控除額は3,600万円ですので、課税価格は1,400万円となります。
基礎控除額もそうですが、相続税の大きさは法定相続人の数や法定相続分、実際の取得割合、取得金額などに応じて計算方法が変わってきます。
単純のため相続人が1人として計算すると、1,400万円に対して税率15%と50万円の控除を適用することになり、相続税は160万円と算出されます。
不動産、その中でも特に土地が相続財産に含まれていると課税価格が高額になりやすいですし、複雑な計算も必要となります。特例の適用なども絡んでくるとより複雑さが増すため注意しましょう。