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特別受益って何?生前贈与の前に知っておきたい相続のルール

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特別受益の制度は相続人間の公平を確保するための仕組みです。被相続人からの特別な利益を相続分に反映させて、相続人間の不公平な財産承継を防ぐために機能しています。このルールを知らずに贈与や遺贈をしていると相続分に関して揉める危険性がありますので、相続対策に取り組む際は注意してください。

 

 

特別受益とは何か

 

特別受益とは、被相続人からの「遺贈」で受け取った利益や、「生前贈与」で得た特別の利益のことを指します。

この仕組みは民法第903条(参考:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)で規定されており、生前贈与で得た特別の利益に関しては「婚姻もしくは養子縁組のため、もしくは生計の資本として受けた贈与」といった形で表現されています。

さらに同条では、それが生前に受けたものであっても、遺産を先に受け取っていたものとして相続分が調整される(これを「相続財産への持戻し」という。)旨も規定されています。そうすることで、以前贈与を受けていた相続人とそうでない方との公平性を確保しようとしているのです。

 

 

特別受益に該当する生前贈与

 

上述のとおり、遺贈は特別受益と評価されます。遺贈とは遺言書に従い被相続人の財産を無償で譲渡することを意味し、包括遺贈(割合で指定して包括的に行う)や特定遺贈(特定の財産を指定して行う)のいずれの方法でも該当します。

一方で生前贈与に関してはそのすべてが特別受益になるわけではなく、特定の贈与に限定されています。

その判定において重要な視点の1つは、「扶養の範囲を超えるものかどうか」です。経済力の乏しい子どもに対し少額の贈与を行っただけだと特別受益とは評価されにくいでしょう。しかし、すでに独立している子どもに対して不動産を贈与するなど、今後の生計の基礎として有用な財産の給付を行っている場合は、扶養義務の範囲を超えると評価される可能性が高くなります。

 

 

贈与者の経済状況によっても判断は分かれる

 

生前贈与が特別受益となるかどうか、「○○円以上だから」と一概に判断することはできません。贈与の目的や金額、そしてその金額が贈与者の経済状況に照らして特別な支出といえるのか、といった点にも着目します。

たとえば学費に関しては、通常、子どもの教育のために大学の学費などを支出しても親が当然なすべき扶養の範囲と捉えられる可能性が高いです。しかし相場を大きく上回る金額であって、贈与者の経済状況と照らし合わせても大きな支出であるといえるのなら、特別受益と判断される可能性は高くなります。学費の支出がほかの相続人の取り分に大きな影響を与えているためです。

 

 

持戻しが起こらないようにする方法

 

大きな財産を与えようとしているときであって、持戻しを防ぎたいときは、将来被相続人となる贈与者があらかじめ「持戻しを免除する」旨の意思表示を残しておきましょう。

法律上も「被相続人が免除の意思を示しているときはその意思に従う」と定められています。

意思表示の方法については細かく法定されていませんので、遺言書や契約書などを使ってその旨記載しておくと良いでしょう。口頭でも理論上は有効ですが、第三者に証明するのが難しいため形に残しておくべきです。